橘 塔子さま作『チューベローズの温室』の閑話の挿絵を描かせていただきました~!

アナログで描かせていただきました。
『チューベローズの温室』は、娼館という狭い(はずの)世界が舞台でありながら、その奥に国と世界の広がりをたしかに感じる骨太な作品です。
「キャラクター」の枠を超えて、「人間」として生々しく活躍する人物たちがみんなとっても魅力的。
彼らが織りなす群像劇の面白さ、すばらしさが少しでも伝わる絵が描きたいと力を尽くしました。
以下で制作過程をご紹介いたします。
ラフ

ラフはこんな感じです。
このラフは、本編のこのシーンがもとになっています。
シメオンはサラの背中と膝下に腕を入れ、その身体を抱えた。うわ、と声を上げて首にしがみつく彼女を軽々と抱いて立ち上がり、
「こういう時、遊女は身の上話をして同情を引くものだ」
と、部屋の奥へ歩き出した。
ですので、シメオンがサラをお姫様抱っこ!
背景に家具(暖炉)とベッド、手前にロニセラの花です。
「ロニセラ」が、サラの遊女としての源氏名だからです。
大人になったサラのデザイン
子供のときはこのデザインだったサラ。

大人になったデザインはこのように設定しました。

少女から〈美しく着飾った大人の女〉になったサラを表現したいと思いました。
サラのデビューを祝って(切ないけれど……)、少し特別感のある雰囲気にしたいと思いました。
ドレスの衿ぐりや袖口に刺繍や模様は入れず、花嫁さえイメージさせるようなシンプルなものにしました。
代わりに、生地をたっぷり使ったアンダードレスのフリルが下からのぞくデザインになっています。
挿絵ではドレスの裾とフリルがふわーっと広がるさまを描きたいと考えました。
本編から抜き出した彼女の特徴は以下のとおりです。
- 銀の髪飾りで纏められた赤毛。
- 髪飾りの下に結ばれたレースのリボン。
※葉っぱモチーフの銀の髪飾りをつけて、その下にレースのリボンをカチューシャ風につけている髪型にしてみました。 - 丸い輪郭、小ぶりで形のよい鼻、口角の上がった薄い唇。
- 深い褐色のパッチリした両目。
- 化粧映えする顔立ち。
- 真新しい白い表衣《コタルディ》は、胸元が大胆に開いている。
- 十六歳。
- ほっそりした体型。
シメオンのデザインは続投です
前回に描いたこのままです。
さわやかイケメン風味で、個人的にこのデザイン、とっても気に入っています!(笑)

清潔感のあるイケメンを目指しました!
できあがったのが先ほどのラフ画
こちらですね~。

ラフはこんな感じです。
サラの幸福感を表したいので、スイカズラ(ロニセラ)の花を手前に大きく配置しました。
つる性植物らしいので、うえのスイカズラはシメオンに触れようとしているさまにしました。
- 背景左の家具は暖炉です。
※時期設定が四月なので、火は入れないこと。
カラーラフ

カラーラフはこんな感じです。
完成品
全体図

このときはアナログで描かせていただきました。
キャラクター部分のみのアップ

キャラクター部分のアップです。