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橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より挿絵

2015年6月24日(水)
 橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より閑話の挿絵を描かせていただきました。

 紙はバンブー水彩紙(細目)265g(サイズおよそF4 320×240)です。
 メイン画材は顔彩です。補助として、水干絵具、岩絵具、墨、アクリル、色鉛筆を使用しました。
 パール粉をふんだんに使用したサラ、シメオンの衣装と上部のロニセラ部分の原画はラメラメになっています。
 最後に胡粉(ごふん)で描いた、サラのリボンと髪飾り部分は、盛りあがった絵肌になっています(どちらもデータ上ではまったく反映されていません……汗)。
 こちらの絵は、橘さんの作品『チューベローズの温室』をあらかじめ拝読し、読みこませていただいたうえで、各キャラクターのデザインからさせていただいたものです。
 娼館という狭い(はずの)世界が舞台でありながら、その奥に国と世界の広がりをたしかに感じる骨太な作品です。
「キャラクター」の枠を超えて、「人間」として生々しく活躍する人物たちはみな魅力的です。
 彼らが織りなす群像劇の面白さ、すばらしさが少しでも伝わる絵が描きたいと力を尽くしました。


橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より挿絵
 本編の、
〈 シメオンはサラの背中と膝下に腕を入れ、その身体を抱えた。うわ、と声を上げて首にしがみつく彼女を軽々と抱いて立ち上がり、
「こういう時、遊女は身の上話をして同情を引くものだ」
 と、部屋の奥へ歩き出した。〉
 こちらのシーンをイメージして、構図を練ってみました。
 シメオンがサラをお姫様抱っこ(!)しています。
 背景に家具(暖炉を描こうかと思っています)とベッド、手前にロニセラの花です。
「ロニセラ(スイカズラ)」は主人公サラの源氏名なのです。
橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より挿絵
☆サラ

 少女から〈美しく着飾った大人の女〉になったサラを表現したいと思いました。
 サラのデビューを祝って(切ないけれど……)、少し特別感のある雰囲気にしたいと思いました。
 ドレスの衿ぐりや袖口に刺繍や模様は入れず、花嫁さえイメージさせるようなシンプルなものにしました。
 代わりに、生地をたっぷり使ったアンダードレスのフリルが下からのぞくデザインになっています。
 挿絵ではドレスの裾とフリルがふわーっと広がるさまを描きたいと考えました。

  • 銀の髪飾りで纏められた赤毛。
  • 髪飾りの下に結ばれたレースのリボン。
    ※葉っぱモチーフの銀の髪飾りをつけて、その下にレースのリボンをカチューシャ風につけている髪型にしてみました。
  • 丸い輪郭、小ぶりで形のよい鼻、口角の上がった薄い唇。
  • 深い褐色のパッチリした両目。
  • 化粧映えする顔立ち。
  • 真新しい白い表衣《コタルディ》は、胸元が大胆に開いている。
  • 十六歳。
  • ほっそりした体型。
橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より挿絵
☆シメオン
 シメオンのデザインはこちらの前半表紙時と同様に描かせていただいています。
橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より挿絵
 以上のキャラクターデザインでラフ画を描きました。
 サラの幸福感を表したいので、手前にスイカズラの花を大きく配置しました。
 つる性植物らしいので、うえのスイカズラはシメオンに触れようとしているさまにしました。
  • 背景左の家具は暖炉です。
    ※時期設定が四月なので、火は入れないこと。
橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より挿絵
橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より挿絵
キャラクター部分のみトリミングした完成品はこちら。
橘 塔子様 作『チューベローズの温室』より挿絵
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